いの

真昼の決闘のいののレビュー・感想・評価

真昼の決闘(1952年製作の映画)
4.3
おもしろい!

「パン屋を襲う」を再び読んでいたら、こんな文章に出会った。

-我々は手に包丁を持ち、商店街をゆっくりとした足取りでパン屋まで歩いた。『真昼の決闘』みたいな感じだった。ゲイリー・クーパーをやっつけにいくアウトローたち。-

これは観なければ!

 ↓
しかし、どうしてこの映画を観ることにしたのか、そんな理由を吹き飛ばしてしまうくらい、わたしは今作に魅入っちゃった。


ミラーが町に戻ってくる!
なんとなんと、凶悪犯罪人で名高いミラーが釈放されたのだという。なんとミラーがこの町に戻ってくる!


ミラーをお迎えするために、駅でひたすら待っている3人の男たち。〈うわっ、レオーネはきっとこの映画に影響受けたんや!〉〈しかもリー・ヴァン・クリーフ出てるやんけ!〉


かつてミラーを捕まえたのオレやんけ!
いち市民ケーンでもあり保安官ケーンでもあるゲイリー・クーパーは、何としてもミラーを討ち取らなければならない。ミラーが町に戻ってきたら、平穏な市民生活は崩壊する。そしてミラーはこのオレにも間違いなく報復してくるはずだ。オレちゃん今まさに結婚式挙げたばっかで、これから若くて美しい妻とのイチャコラが待ってたのに(違う)(違わない)!


保安官ケーンは、パン屋襲撃ならぬ、町襲撃に備えて仲間を募るのだけど、町の人達の反応がどうにもこうにもパッとしなくて。そして、ここからが映画の見所だ。仲間が増えず、圧倒的に不利な状況下で、「逃げ出すわけにもいかない」と、自分の命がどうなろうとも、やるべきことを貫徹すべしと働くさまは、「3時10分~」の映画も思い起こされ、~いや逆だ~、今作がのちに多くの映画に多大な影響を与えたであろうことが想像できるので、自分で勝手に作品を繋げては想像して合点いきまくりをくり返してコーフンする有り様でw。


町の人達の態度が大変に興味深い。「だからこれは我々の問題なんだ!」と、白熱教会での議論は面白くてしかもズッコケたしw、観る者に〝君は傍観者で良いのか?〟という問いを突きつける。誰が保安官の味方になっていくのか、何人が味方となっていくのか、興味は尽きないし、またその間の保安官の心情も察してあまりあるし、そこに新妻やら、かつての女性やら、まあとにかく面白い。


そしてどうなったかは、観てのお楽しみ。


余計な言葉が一切ない終わり方も潔い。



 *
ちょこっとジャック・イーラムが出てくる。うわっ、ここにも「~・イン・ザ・ウエスト」との繋がりが!(いの、大喜びw)




〈追記〉
丁度良い機会だと思って「パン屋襲撃」も読み直した。こちらの文章は以下の通り。

-我々は手に包丁を持ち、商店街をゆっくりパン屋まで歩いた。「真昼の決闘」みたいな感じだった。歩くにつれてパンを焼く匂いがだんだん強くなっていった。-



〈追記〉2022.03.26
『ベルファスト』に登場
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