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日本沈没のtakatoのレビュー・感想・評価

日本沈没(1973年製作の映画)
4.1
 私の見たかった「シンゴジラ」が今ここに。町山さん×春日さんの対談を見て興味を持ち視聴。日本の映画界を変えたオールスターキャスト、スタッフの一本。

 監督 森谷司郎、脚本 橋本忍、撮影 木村大作、美術 村木与志朗、音楽 佐藤勝(みんな黒澤組)。特撮 中野昭慶、特撮助手 川北絋一、造形 安丸信行、美術 井上泰幸、特撮撮影 富岡素敬(みんな円谷組)。即ち、日本の二大天皇、黒澤×円谷スタッフという夢の組合せを実現したのが本作である。そこに仮面ライダー、世界の丹波が加わってるんだから面白くならないわけがない。

 そして現実×虚構という「シンゴジラ」のテーマをこっちのほうが上手にやっている!。現実に日本沈没という虚構を加えたらどうなるか?、本作はその一言に尽きる。ストーリーもテーマも短い中に集約されているハイコンセプトな作品である。未曽有の大災害によりもたらされる日本の終末という運命、苦しむ国民、それを救うために四苦八苦する政治家に科学者、まさに「シンゴジラ」の方針そのままではないか!。

 そして災害のレベルが凄い。単に大変な事態です、というだけでなく特撮の力によってシャレにならない悲惨さと実在感のある描写になっている。CGの力ない映像より、日本の十八番のミニチュア特撮を上手にやった方が遥かに迫力がある。もう日本駄目だ感、世界の終末感がしっかり描けてるからこそドラマが盛り上がる。

 そして俳優も実力がある人がやるとやはりドラマがピンと立ったものになる。日本が終わるという事実を知りながら一人苦悩する仮面ライダー、もとい藤岡弘、日本国民の未来のために戦う世界の丹波、この二人の力でグイグイ見せられてしまう。総理の言葉には「ラグナロク」と同じメッセージ、国とは国家でも国体でもなく国民なんだ!という熱いメッセージを感じる。

 正直スタートのもたつきとか、締めに丹波の演説とかフィナーレに相応しいものがあったらとか、全体にもっと締まった構成に出来たんじゃ?とか言いたいことあるけど凄い一本。
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