こたつむり

ノロイのこたつむりのレビュー・感想・評価

ノロイ(2005年製作の映画)
4.0
♪ 堕ちてゆく 夢現 
  沈みたい ただそれだけ
  子守唄を聴かせて 良い子だと

スミマセン。完全に舐めていました。
白石晃士監督の本気を見ました。
これは紛うことなく監督の最高傑作。

でも、少しだけ言い訳するとですね。
劇中で「霊体ミミズだ」なんて台詞があるんですよ。そりゃあ「はいはい、来た来た、今回は何万ニョロですか?」なんて薄笑いしちゃうのも当然。

それがねえ。まさかねえ。
本気の本気でホラー描写が殴りかかってこられたらねえ。降参するのも当たり前ですよねえ。

特に見事なのは低予算を言い訳にしていないこと。全力で(勿論、限度はありますが)リアリズムを追及しているのです。所帯臭(階段脇に掃除機が置いてあるリアル)やゴミ屋敷感は圧倒的。

また、有名人を起用しても主軸に据えないバランスも見事な限り。芸能人が役を演じているのではなく“これは現実と地続きである”という姿勢なのです。

そして、恐怖のモチーフも角度を変えるだけで“おぞましく”なるという鋭さ。本当に『カルト』や『オカルト』を仕上げた監督さんと同一人物なのでしょうか?実は「影武者が作った」と言われても驚きませんよ。ぎょぎょっ。

そう言えば、子役の選定も良かったですね。
彼らを選んだ時点で本作の成功は約束されていたのかもしれません。

あと、何よりも強く言いたいのは。
松本まりかさんの可愛さは正義だということ。当時21歳。控えめに言っても最高です。というか15年を経た今も変わらぬ美貌。思わず鼻の下が伸びますね。

ちなみに劇中で“彼女の自宅”が出てきますが、それを本物と思ってしまったのは…ぼぼぼぼぼくがヤヴァイわけじゃあないですよ。ほほほほ本当ですよ。はあはあ。

まあ、そんなわけで。
小道具、大道具、演出、脚本、配役。
全てにおいてレベルが高いホラー映画。猟奇的な映像で怖がらせるのではなく、闇の向こう側から何かが滴るタイプなので赤黒い映像が苦手な人にもオススメです。但し、期待値は低めで。
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