『子供は子供だった頃…』…ピーター・ハントケの詩に浸ります…。
耳に残るリフレイン…美しい映像と共に流れる言葉の洪水…思考を停止させ、身体全体で感じます…。
ベルリンの街の人々をただ見守る天使のお話…。ヴェンダースの表現するメルヘンの世界…ロマンチシズムに溢れています…。
天使ダミエル(ブルーノ・ガンツ)の耳には、人間の心のつぶやきが飛び込んできます…苛立ち、苦しみ、嘆き…ただ、天使には人間を助けることは出来ません…耳を傾け、寄り添い、見守るだけ…。
彼らを見ることが出来るのは子供だけ…おじさん天使と子供たちのアイ・コンタクトはとても微笑ましい光景です…。
そして、サーカス小屋で空中ブランコの練習をするマリオンに一目惚れをしたダミエル…彼女の「愛したい」というつぶやきにドギマギ…天使は人間に恋をすると死んでしまうのに……。
そんな時に出会ったピーター・フォーク(本人役)…「見えないけれど…感じるよ」…そう!! 彼も元天使!!
そして、「こっちに来たらいいのに…」と言葉をかけます…彼の優しい風貌にホッコリ…。
今作、撮影監督アンリ・アルカンのカメラが超絶的…仰角・俯角カメラや縦横無尽に浮遊するカメラワーク…モノクロ(天使の見る世界)とカラー(現社会)への転換も見事…。
何より崩壊前のベルリンの壁を映した貴重な映像…。そして天使たちの憩いの場である図書館…構図もバッチリです…鉛筆を手に取るものの鉛筆は元の場所に残っている…不思議な二重写しのカメラトリックも面白い…。
ダミエルは永劫の時に漂うよりも自分の重さを感じたい…と人間になることを決意します…。
「フィリップ・マーロウのように長い一日の終わりに猫に餌を与えたい」…コロンボでは無くマーロウを引き合いに出すのも洒落てます…。
醜い人間界も超越的な存在にはかえって色彩豊かで興味を引く世界なのかも知れません…。
そうであったなら…とっても救われます…ෆ*
そしてエンドロールも素敵…✧︎*。
Dedicated to all the former angels, but especially to Yasujiro, François and Andrej.
全てのかつて天使、特に
(小津)安二郎、フランソワ(トリュフォー)、
アンドレイ(タルコフスキー )…に捧ぐ
みんな天使だったのですね〰︎໒꒱˚.*
…to be continued.