ゴト

ベルリン・天使の詩のゴトのレビュー・感想・評価

ベルリン・天使の詩(1987年製作の映画)
4.2
ペーター・ハントケの詩を元に明確な脚本を書かずに撮影したらしいので抽象的な部分が多い。はっきりとした起承転結もないので観辛く感じるかもしれないが、それでもアンリ・アルカンを撮影監督として引っ張って来れた時点で半分以上勝ち確のようなものだろう。

カラーとモノクロが詩的に交差し、この映画の世界観はアンリ・アルカンがいなければこんな素晴らしいものになっていなかったと思う。撮影監督という存在の重要性を思い知らされる作品である。人間となったダミエルがその喜びを現わすかのようにおかしなくらい派手な装いに着替えているが、こう言った場面での色の使い方も面白い。

聖書によれば人間の姿形は神に似せて造られたそうだが、この映画でも人間は天使に似せて造られたと語られる場面がある。本来、神や天使は人間よりも上位の存在のはずである。が、ダミエルはそんな人間になり、またピーター・フォークはそういう奴が結構いるようなことを言っていた。不完全だからこそ日々を精一杯生きる人間への賛歌。
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