yu8cinemaあなたと映画

ベルリン・天使の詩のyu8cinemaあなたと映画のレビュー・感想・評価

ベルリン・天使の詩(1987年製作の映画)
4.0
『ベルリン・天使の詩』(洋題:Wings of Desire/原題:DER HIMMEL UBER BERLIN)
.
攻殻機動隊S.A.C 2nd GIGの第18話「天使の詩 TRANS PARENT」の世界観に魅せられ僕はこの映画を手にとった。
ヴィム・ヴェンダース監督の作品とは『パリ、テキサス』で初めて出会ったから、どこか不思議な、そして低温な雰囲気の中に希望の秘めた作品なのであろうと考えていた。
そして、それは紛れもなく僕の期待を裏切らなかった。
.
無垢な気持ちを失った大人たち、そして無垢な気持ちを持ち続けた天使。
彼は、無垢なまま地に降り立った。

冒頭、天使は詩人ペーター・ハントケの“Lied vom Kindsein”の言葉を口ずさむ。
その世界は色を失っている。
裏を返せば彼らの世界は何色にも染まっていない。
そして、彼らは僕たちの生きる色のある世界に期待する。
.
しかし、僕たちは“断定されてしまった”その色の世界で、無駄に鋭く、無駄に鈍く、虚無感に怯えながら生きている。
.
無垢な魂を持った“子ども”だけが天使を感じ取れる。
詩人ペーターの言葉を借りるなら
.
「子どもは子どもだったころ・・・はっきりと天国が見えた」
.
そして、天使は希望を胸に秘め、地に降り立った。
僕たちは不安に思う。
無垢な魂を持った天使は、僕らの世界で汚されずにいられるだろうか。
むしろ、希望を失った僕たちにとってこそ彼の存在は希望なのかもしれない。
まるで、それは”現代の僕たち”と“これから生まれてくる子ども”を暗に示しているように僕は思えた。
.
いろんな見解があると思う。
皆さんはどう思われますか。
ぜひご覧ください。