みかんぼうや

ドニー・ダーコのみかんぼうやのレビュー・感想・評価

ドニー・ダーコ(2001年製作の映画)
3.5
【タイムトラベル妄想癖サイコパス野郎の難解妄想劇かと思いきや、解説を読んで驚き!練り込まれた設定と脚本の全く別物の作品だった!】

大学生の頃、他の映画を観る際に映画館で流れた本作の予告編。何かヤバい作品が持つ空気感に一気に引き付けられ、劇場で観たいなと思いながら観ることないまま、20年の月日が流れU-NEXTで本作を発見しついに視聴。

これは・・・久しぶりに一度観たところで掴みどころのない“奇妙な(変な)”映画を観た、という印象。この明らかに大衆受けを狙わない予想通りのカルト感溢れる怪しい雰囲気。興行成績的に振るわなかったのも納得(DVDは売れたようですが)。制作陣は、はなから興行成績に期待して作ってはいないでしょう。

映像や作品全体の奇妙さはどこかデイヴィッド・リンチ的で、“リバース・ムービー”というタイムリープを扱った作品という意味ではクリストファー・ノーラン的な作品。と書くと物凄い作品かと思いますが、リンチ作品ほど映像的に奇抜ではなく、ノーラン作品ほどスタイリッシュではない。だから、思ったほど作品に没入する映画的魅力は感じない。ただ、常に“奇妙な空気感”が流れ続ける映画。

そして観終わった後の正直な感想は、「なんとなく難解そうに見えたけど、結局は妄想サイコパス野郎の妄想ってことでしょ?よく分からなかったけど・・・」くらいの感覚。しかし、ラストの展開が自分の理解では腑に落ちず、理解度が気になり、解説サイトを見てみたところ、自分の理解とは全くもって別次元のかなり練り込まれた複雑な設定の映画であることを知り驚愕!完全に見方間違ってるじゃん・・・ここまで終始見方を間違えていた作品は久しぶり。

それもそのはず。作品内に登場する“ある本”に書かれていた内容をちゃんと理解していないと、本作は真実が分からない作品だったのだ。しかも、この本で語られる理論は映画内では解説されず、当時公開されていた本作公式ホームページに掲載されていたという。解説サイトでは、その内容を掲載しており、「プライマリー・ユニバース」「タンジェント・ユニバース」「アーティファクト」「マニピュレイテッド・デッド」などなど、映画内でもほぼ出てこない単語と設定がぎっしり!(この単語だけ聞いてもネタバレにはならないと思うので書いてみました)

全部読んでようやく理解しましたよ、「そういう映画だったのか!」と。

なので、今回のレビューの評価点は、解説を読んでちゃんと本作のことを理解する前の、あくまでも初見の感覚からつけている点数で、一通り解説を読んだ今観直したら、多分もっと点数高くなると思います。が、最初から全部知っていると、この“不可解さと不気味さ”は半減するので、最初は解説を読まずに観ることをお勧めします。

主演のジェイク・ギレンホールの、あのイッちゃってる目が凄い(あれでミスリードされた感もあるが)!こういう表情と演技できる俳優さん、やっぱり好きです。

しかし、「ドニー・ダーコ」とか「ルース・エドガー」とか、主人公の名前がそのままタイトルの作品って、一筋縄ではいかない少し気味の悪い奇妙な作品が多い気がする・・・あ、でも「ギルバート・グレイプ」とか全然違うか!
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