凛太朗

ハイ・フィデリティの凛太朗のレビュー・感想・評価

ハイ・フィデリティ(2000年製作の映画)
3.9
音楽を長くやっていると、好きすぎてしんどくなったり、もはや本当は好きじゃないのかもしれないと自分自身を疑ってしまったり、側から見たらおかしなことかもしれないんですけど、他に音楽をやってる、またはやってた皆さん、そんなことを思ったことありませんか?

そんな人にオススメの映画『ハイ・フィデリティ』。
ジャンル云々の前に、音楽そのものの一つの本質のようなものと初心を思い出させてくれる作品だなと個人的には思います。
劇中かかってる、或いは語ってる音楽は全て洋楽ですけど、なんなら洋邦問わず音楽好き、愛すべき音楽バカにはあるあるすぎる映画なんじゃないでしょうか。

同棲していたローラ(イーベン・ヤイレ)が突然家から出て行ったことをキッカケに、これまでに辛かった失恋のトップ5をリストアップし、カメラ目線で語り始める中古レコード店経営の30代独身ロブ・ゴードン(ジョン・キューザック)。

音楽と共にカメラ目線のモノローグ形式で、バイトの音楽バカ2名を始めとする登場人物を交えて、自虐的物語が進行します。
ということで、凄くウディ・アレンっぽい映画ですね。特に『アニー・ホール』が思い出されます。

何せ個人的には主人公のロブに共感できるところが多数。
辛かったり身勝手だったりする失恋話もだし、膨大な数のCDを整理(オレはCDだけど)したり、なんちゃらトップ5的に編集したテープ作ったり。(今ではデータでプレイリスト作る感じですかね。)
というかこれ、身勝手だから辛いんですよ。
そして登場人物は大体身勝手なんです。
みんなそれぞれになんちゃらトップ5があるのに、価値観を押し付けあって、理解されず、また理解しようともせず、苦しくなっちゃうっていう。

違うじゃん。音楽も恋愛も、頭で考えたり知識で語るものじゃないやんけ。っていう当たり前のことを思い出させてくれるイイ映画です。

ジャック・ブラックを始め、ティム・ロビンスやらキャサリン・ゼタ=ジョーンズやら共演も豪華!
凛太朗

凛太朗