中庭

彼女について私が知っている二、三の事柄の中庭のレビュー・感想・評価

4.4
シークエンスごとの口語の持ち主となる人物たちは、役割を演じつつもショット内の規定位置に到着すると、演技を唐突に中断してカメラ目線となり、視線を外すことなくスピーチを開始する。
このお膳立てのもとに並べられる言葉のほとんどが、あらゆる類の喧騒の中で始められるものの、話者がそれを気にする様子は一度もない。子供が隣でベッドの上の遊びに夢中になり、体ごと揺さぶられたとしても、声色一つ変わることはないから徹底的だ。
スタンドでガソリンを入れる男を一定の距離からとらえたショットでは、なぜかあらかじめ全ての音響が退いており、数秒経ったのち環境音のフェードがこれしかないというタイミングで立ち上る。
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