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彼女について私が知っている二、三の事柄のnagashingのレビュー・感想・評価

3.5
コーヒーにミルクが溶けて油分が浮き上がっていく大写しがコスミック。そこにべートーヴェンが流れ、陽光に満ちた明るい通りのシーンへとつながる。全体的にエモーションを喚起させる場面に欠く映画であるがゆえに、このシークエンスの破壊的な美しさが際立つ。360度パンが「世界と私」についての語りにもたらす謎の説得力もすごい。郊外化による個人の欠損(ドラマ)にはまるで関心をしめさず、社会やら政治やら哲学やら芸術やら、真逆の方向に大風呂敷を広げていくのが笑えた。都市風景のなかにすらトリコロール(+緑)を見いだす色彩への異様なこだわりが怖い。
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