首都圏拡張計画工事によって増える団地。売春をする主婦たち。ストーリーはなく、カメラに写るすべてのものに意味を持たせ、詩的で哲学的なセリフと独白と断片的な映像とから観客にイメージを引き起こさせる難解な映画。
1968年のパリ革命の2年前の映画だが、すでに反米的なメッセージが濃い。ナチスドイツの国歌にしてスローガンのような「ドイチュラントウーバーアレス(世界に冠たるドイツ)」をもじった「アメリカウーバーアレス」という台詞や星条旗Tシャツをきたアメリカ人や登場人物たちが飲んでるコカコーラに皮肉を感じた。ゴダールの溝口愛について授業でまとめて発表したことがあるが、雨月物語のポスターが貼ってあった。あとJALのポスターも。航空会社のポスターやカバンがたくさん出てくるのもなんか意味があるのではないかと気になった。ポップで鮮やかな画面が素敵。コーヒーの宇宙。売春主婦御用達ホテルのオーナー兼子供を預かってくれる親父にお菓子を渡すのがシュールで面白かった。