sensatism

エイリアンのsensatismのレビュー・感想・評価

エイリアン(1979年製作の映画)
4.2
2020/124
エイリアンものって
👽👾👅🤮🤮🤢😱😱🔥🧟🧟‍♂️🐙☄️☄️👾
みたいなイメージじゃん、とにかくエイリアンの気持ち悪さを押し通して人間解体する勧善懲悪ものって感じじゃん、ぜんぜん違う。
濃密どころではない、とにかくねちっこい、良い意味で。

簡単にはエイリアン登場してこないのよ。
「ギェーーグォーーウワアーギャアーー」
はほぼ一切ないのよ。
視覚的にも聴覚的にもうるせぇうるせぇ情報過多❗️ではないの。
宇宙船ノストロモ号が舞台の密室空間、7人の乗組員と水面下で轟く思惑、人間と対峙する1匹の宇宙人(そして1匹の船乗り猫)。
光と暗闇の演出。ほんとうにみせたい部分にだけ光を照らして、残りの余白は暗闇が占める画面構成。
シンプルではあるが実のところはコンプレックス。

宇宙人は船内に侵入してきて人命を脅かす存在になるのだが、要所要所でしか姿をあらわしてこない。全貌がわかるのはリプリーに終盤叩きのめされて宇宙空間に放り出されたあのシーンだけ。
ほんとうに"要所"なの。ポイントを絞っている。そしてその限られたポイントは緩急をうみだし、大きな衝撃を与え、余波が続く。『ジョーズ』でもそうであったが、登場シーンが少ないのにその存在を意識させられてしまう、そういう素晴らしさがあった。

対象の撮り方が局地的なのよ。それもいいのよ。特に顔。人間、ロボット、エイリアン、猫、どれも印象的であった。
ホラー映画って音が欠かせないと思うの、不気味な不協和音さえ流しておけば雰囲気は補完させられるし、唐突に音を大きくすれば必然的に人間は恐怖に近い驚きを感じる。
『エイリアン』はそんな小技(っていってしまってごめんなさい)使わない。
むしろねエイリアンの存在を感じさせるのは"静"なの。特に猫を探しに行った機関士が殺される場面。かなりまどろっこしかった。「絶対次来る!」をできうる限り最大限引き伸ばす。永遠に近い時間、息を潜めながら機関士の動向を見つめる。エイリアンが機関士を咀嚼してるであろう姿を目撃する猫の顔と同じ表情をしているであろう観客者。
リプリーの恐怖で引きつった顔を照らし出す、点滅するひかり。動きが一瞬止まったかのように見える。映像は古いのに常に臨場感を感じられる。

良かったなあ。
クリーチャー物って、クリーチャーの突飛さを醍醐味にもうけてるじゃない、結局描いてるのって怪物に翻弄される人間に過ぎなくて、主役は怪物という映画が多いと思う。
個人的にこの映画はエイリアンが主役であると同時に、人間も主体的な主人公として物語に介入している感じがした。

好きでした。
sensatism

sensatism