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ミンボーの女のdaiyuukiのレビュー・感想・評価

ミンボーの女(1992年製作の映画)
4.5
東京の名門ホテル、ロイヤルコートではサミットの開催を控えていたが、ヤクザの逗留を許しているという危機管理の甘さが理由で、その開催権をライバルホテルに奪われてしまう。ロイヤルコートの総支配人(宝田明)は断固ヤクザを排除しようと決心し、経理マンの鈴木(大地康夫)とベルボーイの若杉(村田雄浩)をヤクザ担当に任命する。2人はヤクザにおびえながらも排除に取り掛かるが、ズブの素人である彼らは手もなくヤクザの術中におちいり、金をむしりとられてしまう。そんな彼らの不適切な対応は逆にヤクザを刺激する結果となり、事態はさらに悪化していく一方であった。そんな状況にたまりかねたホテルはミンボー専門の女弁護士・井上まひる(宮本信子)を雇う。女でありながらもミンボーのプロであるまひるは、知識と経験と胆力によって難事件を次々にさばいていき、そんなまひるの指導もあって鈴木と若杉は次第にヤクザに対しての対応を心得、成長していく。そんなある日、ゴルフ・クラブで入内島という男と出会った総支配人は、彼に誘われるがまま、とばく行為に手を出してしまう。ところが入内島(伊東四朗)はヤクザ組織の中心人物で、これをネタに総支配人を次々とワナにはめてしまい、ホテルそのものに揺さぶりをかけてきた。戦えばスキャンダル、降伏すれば多額の金をゆすり取られてしまう。それを知ったまひるは、ホテルの会長に企業全体としての決断を迫り、ホテル側も真っ向から闘うことになるが、そんな時、まひるはヤクザの鉄砲玉に刺されてしまう。そしてまひるがいなくなったのを幸いにホテルに押しかけてくるヤクザ。だが企業全体で暴力団に立ち向かう体質に生まれ変わったロイヤルホテルは、正当な手段でヤクザを撃退するのだった。
伊丹十三監督が、「市民が暴力団の脅迫にどう対抗するか」を描いたハウツー映画。
「ヤクザと交渉する時は、ヤクザの陣地ではなくこちらの交渉部屋で交渉する」「ヤクザに金は渡さない」「ヤクザは絶対に暴力を振るわないことを前提に冷静に交渉する」「法令違反があるとヤクザがごねてきても、監督官庁や警察にはこちらから報告して注意や処分を受けると突っぱねる」「ヤクザの脅迫行為を止める即効手段は仮処分」など、ヤクザと交渉する時の心得を井上まひるたちがヤクザと交渉する顛末を通してリアルに描いている。リアリティーがあり過ぎて、伊丹十三監督がヤクザに襲撃されたほど。
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