すずき

シンデレラのすずきのレビュー・感想・評価

シンデレラ(1950年製作の映画)
3.8
シンデレラは動物と心通わす、優しく美しい女性だった。
だが彼女の父親が亡くなり、シンデレラは継母と連れ子の姉妹に虐げられていた。
そんなある日、国王は国外から帰ってきた王子の花嫁探しに、合コン…じゃなくて舞踏会を企画する。
しかしその日も、シンデレラは継母達の嫌がらせで家事が山積み。
そんなシンデレラを見るに見かねたネズミ達は、舞踏会に出られるように彼女の手助けをするのだが…。

ディズニー長編アニメーション第12作。
ここからのディズニーは、2〜4年に1作のペースで、数々のアニメ作品を発表。
この作品から70年代ぐらいまでは現在でも語り継がれる名作・良作ばかりで、かなり強力な打線だ。

さて、本作は童話のシンデレラを原作に、彼女を手伝うネズミ達の奮闘が付け足されている。
ただの尺稼ぎの付け足しと思う事なかれ、これぞディズニーアニメ!な、生き生きとした動物達による、「トムとジェリー」を彷彿とさせるドタバタアクションが楽しい。
でもいくら心優しいからって、ネズミにまで優しいのは衛生上良くないぞ、シンデレラよ。

人間の作画も良くって、シンデレラは超キレイだし、髪型変えれば現在でもイケるキャラデザ!
そしてアクションは無いけれど、日常の何気ない動作がヌルヌル動く。

序盤は、健気なシンデレラに辛い仕打ちしかなくて、可哀想。
そんな状況でも希望を捨てず、毎日を精一杯出来る事を頑張るシンデレラに心打たれる。
シンデレラのシンは「信じる」のシン、シンデレラのシンは「辛抱」のシン!(古いネタですみません)

中盤、心挫けそうになった時に、魔法使いの妖精が現れ、彼女にチャンスを与える。
それがあの有名な魔法の言葉…「高須〜、クリニーーーック!」(このCMって地方ローカルかな?)
間違えた、「ビビディ・バビディ・ブー!」。ドラゴンボールの魔人ブウ編の名前の元ネタですね。

こうして無事天下一舞踏会に間に合ったシンデレラ。
王子様は昭和の日本人映画俳優みたいなハンサムで、2人は心惹かれ合ったけどシンデレラはガラスの靴を残して去ってしまう…。
何で脱げたガラスの靴は魔法が解けてないねん、ってずっと思ってたけど、ほんの少しのフォローがあるだけで結構印象違うものね。
ラストの展開も、ほんの少し童話とは違っていたのも新鮮な気持ちで見られた。

それから本作のヴィランの、鬼畜継母ババァが良かった!
ババァの娘はさくらももこのキャラみたいな顔したギャグタッチで描かれたキャラなんだけど、ババァの作画はシリアスタッチで本気。
魔法が使えたり、特殊能力があるわけじゃないんだけど、そのドス黒い邪悪な精神はまさしくヴィラン!
本編内でババァ&娘が報いを受ける事が無いのが残念だ。
続編OVA「シンデレラ3」で彼女達はようやく報いを受けたらしいが、残念ながらメキシコマフィア並のエグさのグリム童話版ではない。(当たり前だ)