半兵衛

ピクニックatハンギング・ロックの半兵衛のレビュー・感想・評価

3.5
10年以上前にテレビで見て「変な映画だな」と思ったが、今見てもその印象は変わらない。消えた女学生たちの存在が謎のまま物語が終わるからか、それとも何か超然としたものに見つめられているような感覚に襲われるからか。

それと雰囲気や動物、そびえる自然など思わせ振りなパーツをあちこちに配置して、肝心の神隠しは直接描かずに「さあ想像してください」とお客を見た映像のビジョンからイメージさせるやり方はズルいと思う。前半あれだけ清純な学生たちの姿と大自然を見せつけられたら邪な考えは出来ないでしょうよ。

あと厳かに描かれる大自然の美しい映像と純粋な主人公が紡ぐこのドラマの造りが、柳町光男監督の『火まつり』と同じ構造を持っていると考えるとなんだか不思議。片や純情な女学生、片や粗暴だが自然を愛しすぎている野生児と人間性がまったく違うのに行き着いた先が似ているところになるのも面白い。
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