アンタレス

機動戦士ガンダム F91のアンタレスのレビュー・感想・評価

機動戦士ガンダム F91(1991年製作の映画)
3.8
宇宙世紀0123年、シャア・アズナブルによって引き起こされた第二次ネオ・ジオン抗争より30年が経ち、大きな争いもなく人類は平和な毎日を過ごしている。
その平和を甘受し腐敗した地球連邦政府に対し、マイッツァー・ロナは「人の上に立つものは、高貴な思想を持たなければならない」とするコスモ貴族主義を掲げ、軍事組織「クロスボーン・バンガード」を旗揚げした。

クロスボーン・バンガードの部隊は、地球連邦政府の管理下にあるスペースコロニー「フロンティアⅣ」を急襲し、戦争が始まった。
フロンティアⅣに住む民間人の少年、シーブック・アノーは仲間との別れも経験し、自らの無力を嘆きながらも他の仲間と共に「フロンティアⅠ」へと逃れた。地球連邦軍の軍艦「スペースアーク」に保護され、艦内で発見したのは、「F91」と銘打たれた整備中のモビルスーツだった。

『逆襲のシャア』ではニュータイプと呼ばれる人類についてが作品の主題であったが、劇中で30年経過した本作ではニュータイプについての認識が浸透していない、ということが何よりも印象的だった。
「パイロット特性の高い人のことだ」というセリフからも、ニュータイプに対しての正しい認識が、30年の間に失われてしまったのだと理解する。
しかし、ラストシーンでは正しい意味でのニュータイプとして、主人公のシーブックが覚醒しハッピーエンドへと帰結する。見事な脚本だった。テレビシリーズの予定だった脚本を劇場版に縮小したというのなら、尚更称賛に値する。
優れた脚本、キャラクターや登場する兵器の秀逸な設定、そして印象的で素晴らしい音楽、正に名作だと感じた。
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