たつなみ

機動戦士ガンダム F91のたつなみのレビュー・感想・評価

機動戦士ガンダム F91(1991年製作の映画)
3.5
先日自宅のある埼玉に帰った際、近くのイオンで森口博子さんのインストアライブを観てきました。
その際に本作の主題歌『ETERNAL WIND』を聴いたんですが、やっぱり名曲ですねぇ〜。
全てのガンダム劇場版の中でも、『哀戦士』とこの曲が双璧だと思います。
それにしても森口博子さん、未だに歌が上手い!
…という事で無性に本作が観たくなったのでNetflixで再鑑賞しました。

『逆襲のシャア』から30年後という設定なので、登場人物は全て一新。
でもキャラデザインは安彦良和氏、メカデザインは大河原邦夫氏なので、私の様な”ファースト原理主義者“にも結構配慮が感じられる。
唐突にコロニーに侵入するモビルスーツや、戦乱に巻き込まれる民間人。
運命の様にガンダムのコクピットに乗り込む事になる主人公や、仮面の敵…とこれまでのガンダムシリーズの”お約束“はちゃんと押さえられている。

始まりはとても分かりやすいが、中盤辺りからいつもの富野由悠季”らしさ“が徐々に現れてくる。
大胆な編集により、突然場面が転換したり、全く情緒不安としか思えないキャラクターの支離滅裂な言動までも相変わらず。
セシリーの豹変ぶりには『……え?』と言葉を失ってしまう。
何の説明もなく唐突に知らない固有名詞が出てきてシーンが終わる…なんて当たり前。
それこそが富野由悠季の世界なんです。

もの凄く荒削りで中途半端に物語が終わってしまうんだけど、前述した森口博子の奇跡的とも言える主題歌や、それでも引き込まれるストーリー展開、迫力ある戦闘シーンと、絶対に嫌いになれない不思議な魅力がある。

エンディングに出てくる、『This is only the beginning』という言葉からして当時は続編を作る気満々だったんだろう。
本作が公開されてから27年…もう富野監督は作る気無いんだろうなぁ。