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機動戦士ガンダム F91のHKのレビュー・感想・評価

機動戦士ガンダム F91(1991年製作の映画)
3.8
富野由悠季監督による宇宙世紀0123年が舞台のガンダム映画。

単品でも楽しめるガンダムで、富野さんも「分かりやすさ」にこだわった作品である今作。正直言うとファーストガンダムをある程度見ているんですが、まだ全話見てないのでちょっと知識不足なところもあるので逆シャアを見るよりはこっちから見たほうが良いと思ったので見てみようと思いました。

序盤、フロンティアⅣにクロスボーン・バンガードが急襲するシーンはとても迫力あり。ビルの天井が落ちて死ぬ女の子。空薬莢が頭に当たり死ぬ母親などトラウマシーンが多数。みんなスペランカー並みに何かに当たって死んでいく。その中にはシーブックの友人アーサーも、「だってよ…アーサーなんだぜ…」やっぱり死に急ぐのは良くないね。お国のために死ぬのを見る側は辛いのよ。

物語自体は分かりやすいっちゃ分かりやすいけど、ポンポン次の展開に進み、キャラクターに含みのある台詞が大量に入るため、情報量が多く混乱してしまうところもあったが、却ってそのおかげで画面にくぎ付けになり、ちゃんと最後まで楽しむことができた。

なんたって、やっぱり連邦軍側も糞ったれだよ。住むのは大体ブルジョワジー。貧困層はコロニーに追いやられてしまう。腐りきった連邦に革命を起こすにはテロを起こし同じく悪に染まらなくてはいけないのも皮肉なものである。でも、マイッツァーさんを正しい人として描くのもなんかな~って思ってしまうのだ。上に立つ権利があるのは高貴なる人間だけ、ノブレス・オブリージュみたいなものを掲げるコスモ貴族主義。でもその人たちが本当に高貴なのかは誰が判断するのかな?自分たちが腐敗してしまった場合に潔く引き下がることも必要だ。なんか、その点での理解が薄いから所詮はテロ組織で終わっちゃうんだよねコスモバビロニアは。

その証拠にカロッゾさんがやろうとしたことは、完全に虐殺だ。あんなバグなんて人間だけを殺す機械で効率よくコロニーの住民を殺すのは、いくら何でも非情すぎる。機械でエゴを強化したのも頷ける。良心のない制圧は同じ穴の狢だ。

結局一番まともなのはシーブックさんだったな。その親父さんもガンダムシリーズでは珍しいまともなお父さんであった。というか、やっぱり一番可哀想なのは巻き込まれた子供たちや一般市民だった。

しかし、セシリーさんは、なんか一貫した意志が無いというか、いっそベラ・ロナとして生きても文句は言わなかったものを。なんか優柔不断な部分が自分にも似ているような気がした。

ただ、そんなセシリーさんを敵だからと言って死んでも良いとしか捉えなかったビルギットさんが一番嫌いだ。ゆえに彼の最期はなんか納得したのであった。

これだけ登場人物がいながら、どのキャラも濃かったのが良かったと思う。富野節も炸裂していて爽快だった。

そして何よりEternal Windは神曲である。森口博子さんもっと評価されればな良かったのにな~。