スギノイチ

馬鹿が戦車(タンク)でやって来るのスギノイチのレビュー・感想・評価

3.5
村人から虐められていたハナ肇がいよいよ戦車を起動させる様子は、まさしく怪獣映画の文法で描かれる。
いつもの住所から数mズレた位置にあるハナ肇の家。
訝しがる村人集を脅かすけたたましい轟音が鳴り、やがて家を破って動き出す戦車。
次々となぎ倒される家屋と猛り狂うハナ肇。

実のところ、村人達の所業が滅茶苦茶に悪辣かというとそうでもなく、罪状的にはいつもの松竹喜劇のキャラクターと大差ない。
しかし主人公の許せない部分を傷つけた。
「従来の社会」「多数派」というものが、いかに物言わぬ個人を傷つけるかということを、少なくとも当時の山田洋次は強く意識していたんだな。
スギノイチ

スギノイチ