こたつむり

X-MEN2のこたつむりのレビュー・感想・評価

X-MEN2(2003年製作の映画)
2.9
★ X-MENシリーズ第2弾「拡散」
生命は繋がらない。想いも繋がらない。
大気に拡散する光の粒となって消えるだけ―。

ありゃりゃ。微妙な出来栄えでしたね。
アクションは確実に進化しているものの(ホワイトハウスが襲撃される導入部は見事なり)まとまりを欠く印象だったのは…物語の核となる登場人物の心情を深く掘り下げなかったから…でしょうかね。

確かに考えてみれば、登場人物が多すぎますよ。前作の登場人物たちは全員出演し、それに加えて新キャラクタもいるわけですから。しかも、前作で影が薄かった《アイスマン》や《パイロ》にもスポットライトが当たる始末。そりゃあ、時間が足りなくなるのも当然です。

特に《スコット》は、主人公のような外見、立ち位置なのに、出演時間は短いし、乱雑に扱われているし…まるでネタキャラ。原作でも同じなのでしょうか。思えば“目から怪光線”という汎用性がない能力なのも…むむ。

しかも、もっと気になるのが。
登場人物たちの行動や思考に妥当性を感じないこと。

何故、彼は造反したのか?
何故、彼は利用されたのか?
何故、彼女は寝込みを襲いに来たのか?…など説明不足だと感じる場面が多いのです。

これを喩えるならば、毛先が揃っていない筆。
パサパサの毛先(諸要素)を取りまとめる“意思”を感じないので、物語が繋がっていないように見えるのです。これは第一作目でも感じたのですが、まさか第二作目も同じ筆致とは…これがブライアン・シンガー監督流の編集なのでしょうか。

やはり、段取り七分と言われるように。
アクション場面を愉しむためには、そのための準備が必要。「彼らの中にある志」が伝わってこない状況では…ゴメンナサイ。眠くなるだけでした。

まあ、そんなわけで。
厳しいことばかりを書きましたが。
超能力が主体の物語も、哀しみが根底にある物語も大好きですし、次作では監督さんが変更になっている…とのことなので、三部作の着地点がどのようになるのか…出来る限りの生温かい目で鑑賞したいと思います。

To be continued… →→→ 『X-MEN ファイナルディシジョン』
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