はるな

ヒッチャーのはるなのレビュー・感想・評価

ヒッチャー(1986年製作の映画)
5.0
親切心で乗せてあげたヒッチハイカーが殺人鬼だった。
超単純なプロット、舞台は車の中か変わり映えのないアメリカの田舎道のみ。それでも演出と見せ方、役者の演技力で緊迫感を維持しており、90分間ダレることなく楽しめる。田舎道で理不尽に追われる話で言うと『激突!』を思い浮かべるが、アレに少し青春の要素も足した感じと考えると分かりやすい。序盤はあんなに親切だった青年が家を離れ、社会に蔓延る暴力を目の当たりにしたことで次第に無邪気さや優しさを失っていく。つまり彼は大人になったということ。
死というものは往々にして理不尽なもので、ルドガー・ハウアー演じるヒッチハイカーは青年に迫る死そのもののように執拗に主人公を追い続ける。思い返すとオープニングで主人公は居眠り運転をして対向車と正面衝突しかけている。あの瞬間から死が彼に追いつき始めていたのかもしれない。
はるな

はるな