イチロヲ

ノートルダムの傴僂男のイチロヲのレビュー・感想・評価

ノートルダムの傴僂男(1939年製作の映画)
4.0
大聖堂の鐘楼で養われてきた醜い容貌のせむし男(チャールズ・ロートン)が、異端分子として弾圧を受けているジプシーの少女(モーリン・オハラ)を匿おうとする。15世紀のフランスを舞台にして、フリークスの人間讃歌を描いている、サスペンス映画。

絶対的な権限をもつ教会の存在意義とジプシーへの弾圧行為を問題提起しながら、新しい時代への発展を説いている作品。「怪しい人間を見かけたら、とりあえず拷問しておけ」的な、説得力皆無の魔女裁判が、切なくもあり、滑稽でもあり。

ジプシーの少女がファム・ファタールの立ち位置であり、解放運動家の詩人、王宮の将校、せむし男を使役する伯爵、鐘楼に引きこもるせむし男から、一斉に熱視線を浴びせられる。そして、誰とくっつくことになるのかが見どころになっている。

物語の軸が若干ながらブレ気味だが、「コミュニティに属することができない人間の悲哀」を着地点とするのは、個人的にはアリ。女性から優しくしてもらったせむし男が、ウキウキ気分で鐘を鳴らしまくるシーンに感涙必至。
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