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ノートルダムの傴僂男のharuのレビュー・感想・評価

ノートルダムの傴僂男(1939年製作の映画)
3.5
フロローの初恋。

ヴィクトル・ユゴー原作「ノートルダム・ド・パリ」の映画化。ディズニー版ですらちょっと哀しい感じだったのに、こちらはさらにキビしめです。
本作ではヒロインのエスメラルダが彼女の置かれた環境故かそこそこしたたかで、カジモドは最後まで報われない。そしてディズニーでは悪に徹していたフロローが、実は36歳童貞をこじらせ一人で葛藤しまくりで、見ててかわいそうなときもありました。大司教が中立な立場を崩さず、たまに冷たく見えたりもします。
舞台は荒れまくりの15世紀パリ。教会が絶大な権力を握り、なんか腹立つやつは魔女認定して死刑にしたり、拷問したりとめちゃくちゃな時代。エスメラルダもジプシーとして差別され、さらに「エロダンスでフロローを誘惑した罪」で投獄されます。ここでカジモドが大活躍するシーンは、ディズニー版と同じくいちばんの見せ場。(それなのにラストはひどいですー!!)
カジモドはエスメラルダがびびるくらいの醜さという設定ですが、ディズニー版はかなりマイルドになってたようで、実写だとかなり不気味です。彼の特徴であるせむしとは日光不足によるくる病だそうで、小さい時から聖堂に閉じ込められていたことが影響していると思われます。本作ではさらに鐘をつきすぎて耳が聴こえないという設定が追加されていますが、そのせいでコミュニケーションもスムーズにとれません。つまり彼の特徴の多くは後天的なものだったわけで、カジモドの育ての親であるフロローの虐待!かと思いきや、カジモドは知能的に問題はないし、怪力を他人に向けないよう幼少期から躾られているところを見ると、フロローが全て悪いわけではなさそう。
とりあえず初恋はなるべく早いうちに済ませましょう!
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