イチロヲ

13日の金曜日のイチロヲのレビュー・感想・評価

13日の金曜日(1980年製作の映画)
4.0
キャンプ場設営のためニュージャージー州の湖畔に集合した若者たちが、過去の水難事故に関連する猟奇殺人に巻き込まれてしまう。世界的人気の殺人鬼「ジェイソン」がデビューしている、人気シリーズ第1弾。

いわくつきの場所を訪問したパリピー系の若者たちがひどい目に遭うという、単純明快なスラッシャー映画。殺人鬼の描写は一人称視点に徹底しており、ラストまで外見を写さない。純真な女性がファイナル・ガールになる法則も、まだ確立されていない。

昨今の展開が早いホラー映画に慣れ親しんでいると、本作の緩やかな展開に波長を合わせるのが困難だが、中心人物が次々とバトンタッチしていく感覚が非常に面白い。ヒッチコックが「サイコ」で発明した手法をブラッシュアップさせているようでもある。

「恐怖演出の大安売り」が始まる以前は、本作のようにじっくりと煮込むようなホラーがあたりまえであった。公開当時の同時代感覚を念頭に置くと、余韻が残る鑑賞体験を味わうことができる。ジェイソン誕生の逸話に酔いしれるべし。
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