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半次郎のbeans045のレビュー・感想・評価

半次郎(2010年製作の映画)
2.5
敗者の美学


二回目の鑑賞。明治維新の原動力になった薩摩藩の中村半次郎こと桐野利秋陸軍少将を描いた作品。同郷の榎木孝明が桐野利秋を演じるけど、前半生はおっさん過ぎて違和感があったけど、西南戦争辺りからはしっくりと来た。何と言っても殺陣がスゴい。薩摩示現流と言われる独自の剣法を使い、太刀を上段に構え甲高い掛け声と共に敵に襲い掛かる。最新兵器を揃え組織的な戦闘を訓練された平民主体の官軍を、相当悩ませただろうと想像する。会津藩や新選組の斎藤一も官軍や警察の抜刀隊として参加して、維新の際の汚名を晴らしたと聞いたことがある。長州藩士が蛤御門の変の際に幕府方に付いた薩摩と会津を「薩賊会奸」罵ったけど、西南戦争に至っては会津が敵討ちをしに薩摩に行ったのは、因果応報と言うかこの当時の時局の速さなのかなと。
短銃を持ってるのに、敢えて刀で官軍と戦うところは突っ込みどころではあるけれど、それ以上に殺陣の迫力が勝っていた。AKIRA演じる永山弥一郎の殺陣はダンサーのステップだった。桐野利秋を止めるために薩摩に入った彼は不本意ながら西南戦争に参加することになるのだが、「おはんと維新のやり直しじゃ」のセリフは印象深かった。そして、官軍の「敵は何故制服を着て戦っているのでしょうか」というセリフもぐっと来た。薩軍にも維新の原動力になったプライドがあったんだろう。坂上忍も村田新八役で出てたのをすっかり忘れてた。エンドロールに中川大志の名前があって、子役で出てたの今回知った。
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