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未知との遭遇のnagarebosiのレビュー・感想・評価

未知との遭遇(1977年製作の映画)
4.5
素晴らしい!圧巻っ!でした。やはり名作といわれるだけあります。
「~特別編」「~ファイナルカット版」と観ましたが、公開版の本作が一番分かりやすくストレートに良かったと思いました。
主人公の子供っぽさ(純粋という意味で)、彼を取り巻く大人達の「現実を見ろ」的な態度、我が子を奪われ焦燥感で疲れつつも何故か”山”に憑かれる母親など、キャラクター造形がリアルでそれを体現する役者さん達も上手かったです。
特にドレイファスが科学者達に尋問される後半のシーンで最初は落ち着いて科学者に質問していたのに段々と感情を抑えきれず怒鳴りながら「何故なんだ!!」と聞く演技は「そうそう、そうなっちゃうんだよね」と同意してしました。
主人公が初遭遇するところも、最初に車だよって振っておいて2度目で落と
す演出や、子供が”彼等”と初めて遭遇する冷蔵庫のシーンの子供の表情や仕草等、ほんとにきめ細かくキャラクターを描写して見事でした。編集のタイミングやショットの入れ方で、こんなにも名シーンになるんですね。
”音”がキーワードの本作ですが、あの五つの音階を聞いて「これは!!」とすぐに言えるほど強烈でインパクトがあります。それ以外の音楽も耳に残り、やはりジョン・ウィリアムズは天才なんでしょうね。
宇宙船の造形もただただ「圧巻っ!!」の一語で、あれがプラモで出たら即買いします!
撮影監督はヴィルモス・ジグモントですが、第2班や追加撮影で名だたる巨匠クラスの撮影監督が参加していることにも驚きでした。しかも見事に統一感がありアングルや照明等、ブレず見事でした。
今のスピルバーグの作風とは画作りやストーリー展開が違い、70年代特有のアメリカ映画らしさが残っているのも、この作品が名作・傑作と言われる所以なのかもしれません。
主人公が何故、あの”山”にとり憑かれたのか、”何故?”という明確な答えがないまま進行していくので、論理的な見方で映画を見る方は納得できないかと思います。でも、そういうのをブッ飛ばして「感じてほしい」というのが私の思いです。
しかし奥さん役のテリー・ガーはなんかこう、コケティッシュていうんですかね、かわいらしくて好きです。