ほーりー

ゴーストワールドのほーりーのレビュー・感想・評価

ゴーストワールド(2001年製作の映画)
3.8
レンタルビデオ店での客とアホ店員の『8 1/2』のやり取り、短いシーンながらもくだらなくてホント大好き。

ソーラ・バーチと今をときめく若きスカーレット・ヨハンソン共演によるシニカルでシュールな青春コメディ。

何かと他人を「超だっさー!」と皮肉ってばかりのバーチ(しかもオタク女子)とヨハンソンの仲良し二人組は、高校卒業しても進学や定職につかず、ぷらっぷらっぷらっぷらする日々を送る。

ある日、出会い系広告にいたずら電話したところ、現れたのがスティーブ・ブシェミ扮する独身男。当然、からかわれてることを知らずに待ちぼうけするブシェミを見て、二人は影でクスクス笑うが…。

ブシェミ扮する男は趣味で戦前からのレコードを集めているという変わり者だが、僕自身も78回転のSPレコードを集めているので、痛いほどブシェミの気持ちはよくわかる(苦笑)、ブシェミ可愛いや、可愛いやブシェミ~♪…あれ?

さて、ブシェミの出会いがきっかけとなり、それまで普遍的だったバーチとヨハンソンの二人の日常は徐々に変わっていく。

学生時代と変わらずシニックな言動で異端に居続けるバーチに対して、ヨハンソンは徐々に社会に溶け込んでいくことに、バーチは疎外感を抱く。

後半になっていくと、この映画は残酷なほどシリアスになってくる。唯一の理解者だったブシェミに対しても彼女は心ならずもツラい仕打ちをしてしまう。

自分もどちらかと言うと、外れ者の部類に入るので、彼女の気持ちもブシェミ同様によくわかる。

やっぱりアウトサイダーって、アウトサイダーでいる自分がとっても大好きなんだけど、実は内心寂しがり屋が多いんだと思う。だけど、他人から好かれようと自分のポリシーを曲げるってことができないという、これまた何とも難しい生き物でもあるわけで。

ラストシーンは意味深な幕切れ。彼女は一体どこに行くのか… 自分も現実を直視して社会に溶け込む為に今までの生活にピリオドを打ったのか… またはその逆で完全に社会と遮断する為なのか… 

どちらでも解釈できそうなラストに、只者ならぬ印象を受けた作品でありました。
ほーりー

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