木曳野皐

人間失格の木曳野皐のレビュー・感想・評価

人間失格(2009年製作の映画)
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原作を読んでいない人は大体の人はきっとこう思ったはず。

「意味がわからない」

だって意味分からないよこれは分かるわけない。なんですか?この作り方は。「人間失格は人類の9割方読んでるだろうからこのくらい端折っても大丈夫っしょ」みたいな作り方。まず主人公である“ヨウちゃん”の幼少期の人格、性格が全く描かれていない。
ヨウちゃんが問題を抱えていたのは幼少期からであって大人になってからじゃないの、もっと複雑で繊細で可能性と絶望を秘めた素敵な人間なの!
ただ言わずもがなキャストは神。正直、生田斗真演じるヨウちゃんが私の描くヨウちゃんにピッタリすぎて小栗旬の方を観るのが不安だったりする。そのくらい生田斗真がヨウちゃん。
今このメンツで監督を変えて作り直してはくれないだろうか、と願ってしまうくらいこの人間失格はキャストを持て余している。

「キスしてあげるから、キスしてあげるからさ」って言ってるヨウちゃんのシーンしか残ってない。小説を読んだ時は太宰治の描く【人間失格】のその総てに胸が締め付けられたのになんて事だ!なんて事だよ!
やりやがったな!

まぁただヨウちゃんは映画でも小説でもやっぱりしっかりと“人間失格”だった。
人間失格の模範解答、人間失格の先駆者。
木曳野皐

木曳野皐