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サラの鍵のryodanのレビュー・感想・評価

サラの鍵(2010年製作の映画)
4.2
2014-05-18

K・S・トーマス主演。
切ない映画でした。ふとした運命が交錯していく流れが、とても自然でキレイでした。こういうところがヨーロッパ映画ですね。極端な盛り上げがないというか。サラ役の女の子、イイ芝居します。話の出発点になる、ユダヤ人大量検挙事件、略称「ヴェル・ディヴ」事件。なぜこうもユダヤ人が迫害されなければいけなかったのか。強権ナチの民族浄化運動だけが理由なのでしょうか。「アンネの日記」をビリビリに破いてしまう輩がいるような、極東の小さな島国では、この狂気は推し量れないです。戦争なんて理不尽この上ないものですからね。サラの行方を追う主人公、ジャーナリストですが、この職業の傲慢さも描いています。知りたくない過去を土足で踏んで行く。ジャーナリストという盾が、真実を知るということが周りの雑音を消し去っていく。サラの人生が幸せだったとは、誰にも言えない。アウシュビッツ行きを免れたとはいえ、あの年齢にのしかかる残酷な運命は、余りにも大きかった。そんな人生を誰にも知られず、ひっそりと消えていったサラ。彼女の人生に光を当てた主人公の功罪。それを含めたラストが沁みました。
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