Melko

サラの鍵のMelkoのレビュー・感想・評価

サラの鍵(2010年製作の映画)
3.6
深く深く考えさせられる、沁みる映画だった…。

週末急な引きこもり映画1本目。

フランスでもユダヤ人が迫害されてたなんて、知らなかった…こういうことって、知ろうとしなければ知れない。
たしかに、真実を知ろうと躍起になるジュリアに、周りも家族も困惑するのは分かるし、今更「あなたの母親はフランス人ではなくユダヤ人」なんて言われても、幸せに生きてきた今までをひっくり返すようなこと、受け入れられないかもしれない。

でも、ジュリアがいなければ、サラの本当の過去も、サラの両親も、そしてサラが匿って必死の思いで迎えに行った弟も、
何もかもが無かったことになっていたかもしれない。
サラの夫が言っていた、「人にはそれぞれ歴史がある。」このような、歴史の影に埋もれた人々、本当に世界中には山のようにいるのだろうと思うと、胸が締めつけられるというか…

突然家族みんな逮捕され、狭く汚い所に押し込められ、親と引き離され、友達は病気で死に、それでも、必死に、パリに残してきた弟を迎えに…
どんな人生だっただろう。想像ができない。あっとゆうまに孤児になり、弟もあんなことになり、ずっとずっと、苦しかったんだろうか。大人になるにつれ、家族を持って、耐えきれなくなったんだろうか…
そんな苦しみも悲しみも、そして、ひと時の喜びも、ジュリアが掘り返さなければ埋もれていた。
人種は違えど同じ人間同士なのに、相手を人間以下に扱えてしまう環境、その恐ろしさ。
歴史を繋ぐには人が繋ぎ伝えるということ。

サラ役の女の子が可愛かったなあ
途中、納戸を開けた後の慟哭に、自分の弟を思い出して、めっちゃ感情移入して泣きそうになった。。

現代パートはやや蛇足も多かったけど、静かに、淡々と、新たな歴史の事実との出会い、人の歴史との出会いができた映画だった。
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