Komi

サラの鍵のKomiのネタバレレビュー・内容・結末

サラの鍵(2010年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

どこだかわからないけど、子供と一緒に電車に乗っている。降りる駅に着き、自分は降りたが、人にもまれて子供が降り損ない、扉が閉まってしまう。パニックの表情で見つめる子供に、聞こえないとはわかっていても、次の駅で降りなさい、絶対迎えに行くから!と叫び…。目が覚める。

そんな夢を見て、目覚めてしまったことに今度は自分がパニックを起こしそうになり、必死で夢の続きを見ようと、また寝ようとしたことがある。
目が覚めたことで現実ではなかったんだ、ホッとしていいんだ、と思う一方で、その夢の中で生き別れてしまった子供は、未だに電車に取り残され、怖くて泣いているのではないか、と心が痛くなるほど落ち着かなくなったのだ。

この映画を観ながら、その夢の事を思い出してしまった。もしこれが現実に起こった事なら、私も多分おかしくなるだろう。良かれと思ってしたことが、取り返しのつかない結果を招く。そんなに長く戻れなくなるなんて、大人にだって分からなかったのだ。

扉を開けて、自分のしてしまった事を見てしまったから、もうその姿は彼女の頭からは消えない。だから、成長しても、子供に本当のことを封印して、優しい母になっても、きっと自分を許すことがなかったんだろうな…。

この手の話は本当に辛いです。イングリッシュペイシェント、永遠の子供たち…。一度観たら、忘れられません。

せめて、登場人物たちがみんな優しかったのが幸いでした(主人公の夫だけは受け入れられませんでしたが)。
とてもよい映画でした。
Komi

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