フライ

寒椿のフライのレビュー・感想・評価

寒椿(1992年製作の映画)
3.5
当時かなりの衝撃で観た記憶があるが、内容は降旗康男監督作品だけあり人間模様の生々しさを描いたストーリーは素晴らしかった。

西田敏行や高嶋政宏などキャスティングは素晴らしいが、なんと言っても昔ファンだった南野陽子の体当たり演技は良かったが、ヌードシーンに衝撃を受けた事が鮮明に思い出される。

昭和初期、女性紹介所という人身売買仲介者の男と陽暉楼という料亭での芸妓との関係、そこに普通選挙法改正に伴う選挙での争いを絡めた内容に男女関係の醜さや切なさを生々しく描いたストーリーはとても悲しくさせられた。ヤクザな男達に女性が金で買われるやるせない世界に憤りもあるが、そんな世界での切なく報われない恋や愛情は胸が締め付けられる思いがした。

信じられないが西田敏行が兎に角カッコイイ!そして西田敏行の息子役の子が序盤で父親の仕事を卑下した、女性を売る奴が悪いんじゃなく買う方がいるから売る方がいるという言葉は最後まで重く心に残った。
若干珍妙なシーンもあるが昔の日本での暗部を生々しく描いた内容は腹立たしく感じたがとても興味深く観ることも出来たし感動した。
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