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キング・コングのTSのレビュー・感想・評価

キング・コング(1933年製作の映画)
3.7
【怪獣映画の原点】78点
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監督:メリアン・C・クーパー/アーネスト・B・シュードサック
製作国:アメリカ
ジャンル:SF・パニック
収録時間:100分
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新作が明日から公開なので鑑賞。怪獣映画の原点にして傑作と謳われている今作。単なる怪獣映画だけでなく、1933年ということで世界恐慌後のアメリカの不安も描いている社会派映画でもあります。日本の怪獣映画の父である円谷英二が映画監督を志すきっかけになった作品でもあります。

映画監督のカール・デナムは誰もが驚く新作映画を製作しようとしていたが、その内容が不明であるため女優を雇えないでいた。そこに仕事を求めていたアン・ダロウと出会い、彼女に主演をしてくれるように頼むのだが。。

今作のキングコングを始めとする動物ははストップモーションアニメーションという手法で描かれています。1925年の『ロストワールド』で力を発揮したウィリス・オブライエンが今作でも活躍します。CGなんてない時代に、このような作品を製作しようよく思えたものです。いわゆるコマ撮りであるため違和感はかなりありますが、そのあたりは気にせずに楽しめば良いと思われます。

髑髏島という未知の島に行くわけでして、そこには怪しげな先住民達もいます。そこに現れる島の王、キングコング。主演女優を務めるアンに惚れたのか、彼女を執拗に追っていきます。アンはもう最初から最後まで叫んでましたね(笑)かなり疲れたでしょうね。。

周知の通り、後半のパートは見世物としてキングコングがニューヨークに連れて行かれるのですが、その後は視聴者の期待通りといいましょうか、キングコングが都会で暴れます。エンパイアステートビルの頂上で飛行機を振り払うシーンはあまりにも有名でして、エンパイアステートビルと言えばキングコングと連想する方も多いのではないでしょうか。
当時、エンパイアステートビルは1972年にワールドトレードセンターのノースビルに抜かれるまでは世界一の高さを誇るビルでした。その近代文明の象徴とも言えるエンパイアステートビルの頂上に、野生世界の王であるキングコングが咆哮するということはどういうことなのか。いき過ぎた文明への警鐘を具現化したものだと僕は感じました。現に、今作公開の数年前には世界恐慌が起こっているわけですし、人々の社会への不満は相当なものだったでしょう。

単純に前半から中盤にかけては怪獣映画として楽しめ、後半はそのような社会的事情も理解できる作品となっています。飛行機の銃乱射により、弱っていくキングコングの表情は実に人間味を帯びていました。新作はどのような路線でいくのでしょうか。完全なリメイクなのか工夫が加えられているのか、、楽しみです。
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