ガンビー教授

キング・コングのガンビー教授のレビュー・感想・評価

キング・コング(1933年製作の映画)
-
コングは極めて動物的に描かれていて、その邪気のなさが恐ろしくも愛おしい。たしかにどことなく好色な面構えに見えないこともないが、ヒロインの服を割いていくところは、むしろ初めて見た存在をつついたりいじくりまわしているという子供っぽい振る舞い。

列車を破壊するのに知性は要らない。ただ破壊したいから破壊するのだ、という無邪気な、本能に忠実な衝動。

現在から見ると技術も高くないはずのストップモーションアニメの合成ではあるけど、コングが画面に現れる瞬間はさすがにおおっと思うものがある。何というか、こういうものを見せて楽しませてやろうという、作り手の意志が見えるからかもしれない。

無邪気な存在だからこそ、そこには恐ろしさもあるが、鎖に繋がれた姿の哀れさや、あの結末の痛切さも際立つ。この哀愁が、見世物精神にあふれる作品のアクセントとして効いている。
ガンビー教授

ガンビー教授