このレビューはネタバレを含みます
1933年当時にどれだけ特撮が撮られていたか知らないが、NYで暴れる怪獣を撮るというのはどれだけ挑戦的な試みだっただろう。最初にジャングルで暴れることで、ニューヨークの劇場や街で暴れるのが余計に映える。迫力あった。
「コングは美女に殺された」というのはとんでもなくて、コングは彼を見世物にしようとした人間に殺されたのである。誰がコングをニューヨークに連れてきた。
なんたる悲劇か、女を守ろうとしたところを恐竜たちに襲われ、人間たちに奪われ、見世物にされ、メッタ撃ちにされて知らない土地で死ぬとは。
どうしてスタッフが半分も死ぬほど危険なのに一人の女優を助けるためにコングを追うのかと思ったら、航海士は女優が好きだし、監督はコングを見世物にしたいという動機があってなるほどと。
島民がコングに生け贄を捧げるのも、なるほどと思わせる。恐竜なんかがコングと闘うのを見ても、実力は拮抗していて、コングが食料を確保するのは難しいんだろうなとわかる。そこで、人間たちから生け贄をもらう。コングは食料をくれる人間たちのテリトリーは侵さない。WIN-WINである。
(島のあの壁は、登ろうと思ったら登れるよな?エンパイアステートビル登れるんだから。翼竜が壁を越えないのは分からないが・・・)
そしてその秩序は撮影隊の闖入によって壊される。
あとはコングの力強さに息を呑み、悲劇に泣く。
・逃げ惑う人々のなか子供が取り残されてすぐ前まで追っ手が迫っているのはこれが原点か。