ほーりー

キング・コングのほーりーのレビュー・感想・評価

キング・コング(1933年製作の映画)
4.5
どっちの表記が正しいんでしょうかね、「キングコング」なのか「キング・コング」なのか。

コトバンクで調べると「キング・コング」だけど、「キングコング対ゴジラ」は・がないんだよねぇ~。

新年一発目は怪獣映画の元祖「キング・コング」。

何度もリメイクされているだけあって今更ストーリーを説明してもしょうがないのだが、でも本当によく計算されて作られている。

キング・コングが登場するまでの尺が40分で、そこからラストまでが60分と、この2:3の割合が怪獣映画としてちょうどいい。

しかもコングが登場してからはほとんど特撮シーンなのも凄い。あの巨大な壁やジャングルのセットも金のかけ方が半端ない。

よくこれだけ予算を惜しげもなくつぎ込んでいるなぁと思うのだが、それもその筈、製作総指揮が誰あろう、あの「風と共に去りぬ」を手掛けたデヴィッド・O・セルズニック。

ヘイズコードが施行される1934年以前に公開された作品のため、人が死ぬ描写(人間が橋から落ちたり、コングに踏み潰されたり)が結構キワドイ。

しかもトーキーになってそんな経っていない時期にもかかわらず、劇伴や効果音がかなり使用されているのも興味深い。

今観るとカクカクしたぎこちない動きの怪獣たちがサスペンスフルな音楽によって本当に恐ろしい存在に感じてしまう。

音と言えば、ヒロインのフェイ・レイの絶叫も真に迫るものがあり、怪獣映画で重要なことは怪獣と対峙した時の役者のリアクションなんだなぁと改めて思った。

そして後輩の「ゴジラ」同様、本作も怪獣を倒してハッピーエンドという単純な図式ではないこともポイントだと思う。

当時最新兵器だった飛行機によって射殺されるコング。しかもすぐには死なず、血を流して少しずつ弱っていく描写を見るとコングに哀れさを感じてしまう。

ピーター・ジャクソン版や「髑髏島の巨神」を観たあとでは、迫力に物足りなさを感じるかもしれないけど、この時代にこれだけの作品を作ったのがもはや驚異的。

■映画 DATA==========================
監督:メリアン・C・クーパー/アーネスト・B・シェードザック
脚本:ジェームス・クリールマン/ルース・ローズ
製作:デヴィッド・O・セルズニック
音楽:マックス・スタイナー
撮影:エドワード・リンドン/バーノン・L・ウォーカー
公開:1933年3月2日(米)/1933年9月14日(日)
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