設定はなにもかもが中二病なのだけど、世界観の作り込みが素晴らしすぎる。
現実に「円都」は存在していたのではないかと錯覚しそうになる。
誰にも感情移入してないのに胸を締め付けられてしまう凄さ。スクラップの中からピアノをクレーンで引き上げるシーンがたまらなく好き。
1996年製作。工業地帯の景色が流行りだすのがこの10年後くらいなので、当時いかに斬新な舞台設定だったのかよくわかる。全編どこ切り取ってもインスタ映えしそうな景色。
導入から「円が世界で一番強かった…」と紹介されるが、日本と中国の経済のパワーバランスが圧倒的に違った時代を感じる。(もちろん日本のほうが大きかった。)
その後20年も経たずにGDPは抜かれ、爆買いによって逆に買い占められるようになるなんて誰が想像していただろうか。
天狗気味だった当時の日本の世相みたいなものも反映されていて現代史ウォッチ的にも楽しめた。
なかなか手を出せていなかったけどようやく鑑賞できた。好みは分かれるかもしれないが、唯一無二の映画であることは確か。