梶岡

スワロウテイルの梶岡のレビュー・感想・評価

スワロウテイル(1996年製作の映画)
4.3
「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」
円都の守護聖人 F*ck沢 💴


これほど美しい邦画があったとは…!
岩井俊二監督作品、『スワロウテイル』(1996)を鑑賞しました!🦋

【あらすじ】
それは、円が世界で1番強かった時代。貧困からの脱出の好機を掴むために日本に押し寄せた移民達は、"円都(イェン・タウン)"と称した移民街を作り上げた。
しかし、日本人の多くは違法労働者達である彼らのことを、皮肉を込めて"円盗(イェン・タウン)"と呼び、小銭稼ぎのこそ泥として軽蔑していた。
これは、その"円都"に生きた"円盗"たちの、ふるさとの物語---。


この感じ、めちゃめちゃ好きでした…!
台湾映画みたいな切ない作風と、70'sアメリカ映画のような力強さと、島国である日本の地理的要因を一緒くたに詰め込んだ世界観が息を呑むほど美しく、本作には心優しき娼婦の女性"グリコ"として出演している女性シンガー「Chara」の消え入るような歌声が、彼らのドラマを感傷的かつ耽美的なものに仕上げていました…!

タイトルでもある「スワロウテイル」は、「アゲハチョウ」を指す英単語です。
蝶々は、1個体につき約4回ほど卵を産むそうです。つまり、それだけ産まないと命を繋いでいけないほど、その生存率はシビアなもので、その多くが幼齢期に寄生虫に使い捨てられたり、蛹になるだけの栄養が足りなかったりして死んでしまったりするのが現実。
ヒラヒラと軽快に舞い踊る、"あの蝶々"の姿になるのは、本当にごく僅かなものなのですね。

そういう意味では、作中の"円盗"の面々も、今の日本を生きる僕ら一人一人にしても、その厳しさと虚しさの構造は同じでしょう。
それでも、"グリコ"のように羽ばたく為に必死に生きている人間の姿は、何をも差し置いて魅力的な像として目に焼き付いて離れません。
暗く悲しい映画に見せかけて、その芯にあるストーリーは大変希望的なものだと感じました…!

"I did it my way."

そう胸を張れるほど全力で「その時代」を生き抜いた彼らに大変心打たれました…!高評価です!!!✨