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霜花店(サンファジョム) 運命、その愛のadcnのレビュー・感想・評価

4.3
よしよし、お稚児、耽美、愛憎ものかな?という先入観を持って見始めたが、かなり哲学的な構造の映画で、暫く消化できなくてウンウン考えてしまった。

ミクロな目線においては、一つの人物の中で2つの感情が激しく葛藤する。ほぼ結末に至るまで葛藤に結論は出ない上に理性で体面を保つため、感情を吐露する(説明する)台詞もない。人物に感情移入する姿勢で映画を見ると居心地の悪さが半端ない。(最後30分はもう早く殺してくれ…という気持ち)
この居心地の悪さはマクロな目線で映画の構造を考えたとき、公開時の監督のインタビュー(※引用)を読んだ事で多少の納得を得た。インタビューを読んで、マッチョイズムという社会的に正しいとされた価値観への疑問を、同性愛という社会的に疑問を持たれやすい問題を通して描く発想にお腹を出して屈服してしまった。
過去作も元気があるときにみてみたい。

余談として、基本技術としてカット割や画もとで綺麗だっんだが、アクションシーンがイマイチだった。

ユ・ハ監督インタビュー引用
中央日報日本語2009/1/12
https://s.japanese.joins.com/article/899/109899.html

事実上『霜花店』は作られた人間の形についての物語だ。作られた性的アイデンティティー(同性愛者)として生きてきたホンリムが、自身のアイデンティティーに気付く瞬間、すべてを失ってしまう。私の一貫した関心事であるマッチョイズムにもつながっている。私はマッチョ的に育てられたが、同時にそれを軽蔑(けいべつ)することもある。マッチョへの軽蔑と魅惑が私の映画的な動力なのだ。ホンリムを通じては雄性を、王を通じてはマッチョイズムと男根性の向こう岸を、それぞれ語ろうとした。
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