ところどころ美しいカットは挟まるが(結婚式の回想等)キェシロフスキ節は抑え目。意図的としか思えないが何故だろうか。
トリコロール三部作唯一の軽いコメディタッチであり、男が主人公の作品。三部作に一つテイストの違う作品を混ぜたかったのかもしれない。これはこれで悪くない作品になっている。
雪、霧、壁等によって白みがかった画面を作り出す。やはり赤、青に比べるとインパクトは小さい。
人物が画面を覆い隠して暗転、ベッドシーンで絶頂の際画面が真っ白になるなどの演出は良い。
ミコワイは非常にいいキャラをしている。同意殺人のシーンの空砲、スローモーション。素敵なシーンである。
「東側」としてのポーランドの姿もさりげなく描かれる。
腰の曲がったお婆さんが一生懸命空き瓶を捨てようとするカットは本作にも登場。「青の愛」同様、愛の記憶を捨てられない主人公を象徴する。
酷い妻だと思ったが、葬儀で泣いているシーンはグッときた。共に愛を失うことで達成されるトリコロールの白、「平等」。
果たして復讐の話であろうか。彼は自首するように思えてならない。