トーキングヘッド

霧の中の風景のトーキングヘッドのレビュー・感想・評価

霧の中の風景(1988年製作の映画)
4.5
少女の心。

色々と唐突な登場をするので、そのシュールさをはらんだよくわからない空気が良い

冬の湿り気のある空気は趣がある。電車が去っていく姿はこれがトリップムービーである事を示す。

とても味わい深いのは、この映画には社会が描かれていて、子供達と一緒に私たちがそれを知ること

彼らは何も知らないがゆえに危険を察知できない。その逆も然りで、知らないからこそ飛び込める強さもある。
食べるのには働かなければいけない。職がないなら、物を売るしか無い。悪い人もいれば、踏みとどまる人もいる。
劇は必要とされなくなり、人々の関心は移ろいでいく。国境。食べるための家畜。

どうすれば良いのかわからない。それがあの石像一つで表現される。直喩的なメタファーはハッとなった。これも世界を描いてる。

こんなにも世界や人生が描かれているものがあるのかと思った。こんなにスケールの大きなものを僕は初めてみたかもしれない。