Welcome to HAMBURGER HILL.
1969年5月10日、アメリカ軍 第101空挺師団は、南ベトナムのエイショウ・バレー、937高地において「アパッチ・スノー作戦」を開始した。だが、高地に陣取る北ベトナム軍の容赦なき機銃掃射と手榴弾攻撃を受け、アメリカ兵たちは丘の急斜面で次々と被弾、爆殺されていく。
この丘はオレたちをミンチにしようとしている。
彼らはその丘を"ハンバーガー・ヒル"と呼んだ—— 。
戦争映画にエンタメ要素を求めるのは筋違いかも知らないが、キャスティングは映えず、見た顔と言えばディラン・マクダーモットかドン・チードルぐらい。
スター不在のベトナム戦争映画は、兵士同士のたわいない会話や、ベトナム女性とイチャコラしている兵士達の様子と激しい戦闘描写を交互に描き、物語は緩急をつけながら進む。
泥塗れになりながら、
丘の頂上を目指し、
一人、また一人と死んでいく。
「プラトーン」や「地獄の黙示録」などと比べると、随分と地味な印象。だからこそ、ドキュメンタリー的で実録描写かと見紛う程のリアルさがある。
味方のヘリからの誤射撃による大量殺戮は悲惨で、まさに地獄絵図。
戦争映画、殊にベトナム戦争モノは、戦っている者達の虚しさが、他と比べられない程に酷い。
命懸けで駆け上がった、
その丘の上に何があると言うのだろう。
彼らはその丘の上で何を思うのだろう。
エンドロールでは、名もなき兵士達の栄誉を称えるテロップが流れる。そうか。スター級のキャストを揃えなかったのは、あくまで、その名もなき兵士達を描く為だったのかも知れない。