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マグダレンの祈りのRのレビュー・感想・評価

マグダレンの祈り(2002年製作の映画)
5.0
すごい!!! こんなすごい映画を今まで見てなかっただなんて! これヤバイ! アイルランドでは1990年代まで、ふしだらと見なされるな女を強制的に収容する修道院があり、ひと度そこに入れられたら、一切の人権が剥ぎ取られ、奴隷以下の生活を強いられていた。そんな収容所で暮らすこととなる3人の女子のストーリー。従兄にレイプされた方なのに、何故かそこに入れられるマーガレット、孤児院でナンパしてくる男たちとちょっと喋ってただけのバーナデット、私生児を生んでしまったローズ。何ら罪のない3人が、カトリック教会のおそるべき不寛容さの犠牲となり、まさに生き地獄を経験する。おしゃべりすることも許されず、こっちからシスターに話しかけるのもダメ、逃げ出そうとしたら苛烈なむち打ちと剃髪、とそれだけでも、こいつら一体何の権利があってこんな非人道的な仕打ちができるのか!とすごい気持ちが湧き上がってくるんやけど、さらには、シスターによるいじめ、神父による性行為強制、など聖職者側の腐敗も明らかになっていき、同時に、そこで年をとって意地悪ババアになってしまったばあさんの悲劇や、悲しみと苦しみで気が狂っていく女の人も描かれる。ものすごい手際の良さでありながら、ちゃんとハートにひとつひとつのシーンが突き刺さるので、2時間があっという間! ただ重いだけじゃなく、ちゃんとどのシーンも隈なく面白いし、ものすごハラハラするシーンや、うおおおおおお!と心が熱くなるシーンもある。娯楽要素がちゃんと高いのがすばらしい。とんでもない衝撃を経て、最後は深く深く感動したあとで、えっっ⁈ってなったのが、何と! おっと、これは言いたくない! 秘密! 鳥肌総立ち! マジかよってなった。パッケージもレビューも前情報なにもナシで見ることをオススメしたい。ほんとに心の底から全人類に見ておいてほしい作品となりました。DVD買おうかな。ポチリ。で、見ながら感じたこと。ユダヤ教から派生した宗教は、基本的に何かと不寛容ではあるんやけど、それにしても、果たしてコレがキリストが望んだ形なのかと考えると、絶対違うよな、と。結局、みんな、人を虐めたいという、自分の心の中から湧き上がってくる魔性を、法衣で覆い隠しているだけやねん。自分の人生が自分の思い通りにならないから、他人に思い通りをさせるわけにはいかない、癪でしょうがない、許せない、許さない、って考えてるクソどもの悪意を正当化するためのもの。てか、宗教って基本そういう面があると思うねん。でも、本来、宗教とは、人間の永遠の自由のためにあるべきで、自由のために必要不可欠な、不屈の主体性を築くためにあり、人間から尽きることなき力を湧き上がらせるためのものでなければならない。そうでない宗教は、阿片であり、毒であり、悪である。インチキ商売でやってるだけならまだマシなんじゃないかとすら思える。そんくらい非道い。人に不幸をもたらす宗教ほど罪深いものはないし、信じた人はみな生き地獄。けど、宗教や哲学がないというのもまた、人生を砂漠化させることは、さまざまな映画や、現実に起こっている現象で明らかだ。ならば、それを獲得した人も確かに存在する人間の揺るぎない幸福とは、どうすれば得られるのか、それを模索すべき時代が来ているのではないか、と思います。私自身はその答えを見つけて以来、日々るんるんで暮らしておりますが、それに迫る際には、様々な文学作品、哲学書、そして、主には映画が道標になった。感謝感謝ですわ。マジで。
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