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007/カジノ・ロワイヤルのmmas02のレビュー・感想・評価

007/カジノ・ロワイヤル(2006年製作の映画)
5.0
私と007の出会いは、地上波で観た”ゴールデン・アイ”だった。
ピアース・ブロスナンが演じるボンドは、常にスマートでユーモアを絶やさず女性にモテモテ。武器や乗り物は何でも使いこなし、遂には街中で戦車を走らせてドリフトまで決める。
この世界観の虜になった私は、”トゥモロー・ネバー・ダイ”以降の007を映画館で観始め、安定のピアースボンドに満足していたが、本作でボンド役が交代することを知って寂しさを感じたものだ。

しかし本作が始まった瞬間、ダニエル・クレイグが体当たりで演じるボンドに酔いしれた。
諜報部員007として誕生したばかりのボンドは、自信過剰で無鉄砲。それ故に何度も死に目に合い、苦悶の表情を浮かべ、人に助けられて何とか死線を乗り越える。
その姿はまさに血の通った生身の人間であり、スマートなピアースボンドとは真逆の新しい007が始まったんだと感じる仕上りになっていた。

ヴェスパーを演じたエヴァ・グリーンも素晴らしかった。
ボンドに徐々に惹かれつつも暗い影を背負ったままの女性を魅力的に演じていた。そして、彼女の身にこれから起こることを知った上で改めて鑑賞すると、彼女が発する言葉や表情の一つ一つに愛おしさを感じられるから凄い。

ヴェスパー以外にも様々な思惑を抱える人物達が登場するが、”慰めの報酬”、”スカイフォール”、”スペクター”を一通り観て本作を再鑑賞すると、より一層のドラマが見えてきて面白い。

また細かい所で、お約束のガンバレル・シークエンス、及び「ボンド。ジェームズ・ボンド」のセリフが発せられるタイミングは、本作が一番好きだったりもする。
更に、アストンマーティンに乗ってホテル前を一周するやりとりなんかは何度見てもお洒落で格好良く、この辺りは全シリーズ共通のボンド像を感じられる。

ダニエルボンドもいつかは終わる。もしかすると”スペクター”が最後かもしれないとも言われている。
それはとても寂しいことだけど、同時に新生ボンドが誕生する瞬間でもあると考えると007シリーズのファンであることはこれからも止められない。