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007/カジノ・ロワイヤルのTPのレビュー・感想・評価

007/カジノ・ロワイヤル(2006年製作の映画)
3.5
 ニュー・ボンド、ダニエル・クレイグ主演。とにかく、冒頭から、これまでのボンドとは違うぞ、というのを見せるがためか、撮影当時30代のニュー・ボンドは走る、跳ぶ、よじ登る、走る走る。躍動感がこれまでのボンドと一味違う。

 話の筋はよくわからないが、この映画に謎解きの面白さを求めているわけではないので、わかろうとしないことでさらにわからなくなっているのだが、といって評価が変わるわけではない。このシリーズは痛快に観れれば、それでよいのである。

 その意味で、今回のボンドはいい。ダニエルは決して整った顔ではなく、どちらかというと猿顔なのだが、それが冷徹でいるとマックイーンのような渋さを感じさせる。これまでのロジャー・ムーアやピアース・ブロスナンはあまりに甘過ぎて、屈強な感じが余りせず、美女と寝ることのほうに神経がいっている感じがしていたものだ。

 本シリーズはむやみに血飛沫が飛ばないのも、私にとっては良い。リアルに、または大げさに血飛沫をあげさせる方向に映画界全体が向かっているが、すべてをリアルに見せればよいというものではないと思う。現実にはそんなものは見ないですむのなら見たくはないのだから。

 007は絶対死なないという安心感は、裏を返せば先が読めるというつまらなさにはつながってしまうのだが、躍動感のあるボンドに変わったことで本作はアクション映画として、かなり良い出来栄えだと思う。
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