イトウモ

アワーミュージックのイトウモのレビュー・感想・評価

アワーミュージック(2004年製作の映画)
5.0
ゴダールがどのように歴史を描写するか。記憶:主観的な過去 に対しての記録:客観的な過去 としての歴史があるとして。興味深いのはゴダールはそれを主観的にコラージュするということ。客観的な事実に、非常に恣意的で偏ったコラージュを施すということ。それでできあがるドキュメンタリーでもフィクションでもない映像。VJの仕事に近い。個別の映像の中で運動、構図は整然とし、音楽が絶妙な力加減で個別の運動と引き合う。技術と知識は偏っていてもやはり豊かであり、この作品に限ってはゴダールの繊細な語り口も心地よい。事実への「ああでもない、こうでもない」という多方からの解釈としてのコラージュ。VJの仕事に近い。事実そのものは直接描かれず、多方面からただ狙われることで間接的に立体化する。横移動と縦移動を掛け合わせながら行う廃墟の撮影にも見られる「ああでもないこうでもない」という筆致