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アメリのgのレビュー・感想・評価

アメリ(2001年製作の映画)
3.7
【メルヘンでシュールなパリジェンヌの毎日】

皆様が声を揃えて言っている通り、センスが光りまくる映画だった!まず冒頭の登場人物紹介のシーンでの、「その人の嫌いなもの、好きなもの」の紹介は出てくる例がいちいち絶妙。「カバンの中身の整理がすき」とか「豆に指を……」とか、何となく共感してしまうものたちが可愛い映像で流れてくるから、そのシーンで一気にこの映画を好きになった。

自分なら、「テレビで流れるゴルフ中継での拍手の音が好き」「本の端を栞代わりに折るのが嫌い」だな〜とか、アメリの母が無くなってしまう理由を代わりに考えるならば、「安いマニキュアを塗っていたら、きつい匂いでふらっとよろけて、頭を打って亡くなる」なんてアメリっぽいな〜とか、、観終わった後そんな風に、観ている側の空想も膨らませてくれるような映画!

「空想が好きな主人公アメリ」ということで、アメリが空想している世界を見せてくれるファンタジーっぽい映像も、アメリの家の赤を基調とした可愛らしい内装もお洒落でみていて心が踊るし、カメラワークも楽しいし、そういうところで多くの人の心を掴んでいるのだろうと思う!個人的にはドラン監督の映画やウェスアンダーソン監督の映画観た時の、心を掴んで離してくれない強烈なお洒落さを感じたわけではなかったけど、それでも十分すぎるほど可愛い映像だった。(ただ花粉が大量に飛んでそうなあの色はあんまり好きじゃない..)

アメリは「人を喜ばせること」の楽しさを知って、あれやこれや手を回して皆を幸せにしようとする。でもその中にはちょっと独りよがりで、相手のことを心から考えているとは思えないものもある。良い意味でも悪い意味でも「アメリの未熟さ」「不器用さ」が描かれていた。その未熟さを受け入れるか否かで好き嫌い分かれそうな気がするけど、自分はそこは素直に受け入れられなかった。

不器用さ、で言うとアメリと青年ニノの恋模様もすごく遠回りで不器用。「顔を合わせたいけど、やっぱり無理!」と隠れてしまうアメリが観ていて可愛かったし、人を喜ばせることだけでなく、自分の幸せも掴んでいくのは良かった。最後アメリがニコニコしてるのを観ていたらこっちまで幸せな気分になれて、アメリが「人を喜ばせようと心がける」ことを見習わなければと思う。ただし、独りよがりはだめ。
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