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アメリのKKMXのレビュー・感想・評価

アメリ(2001年製作の映画)
4.3
途中まではヘンなガーエー!と思って観てましたが、正統派の作品として面白かったです。


微妙な家庭で育った少女アメリは、空想に逃げ込むしかなかったため、空想のプロみたいな大人になりました。空想は大事な避難所でもある一方、牢獄にもなり得るものだと思います。成人したアメリにとって、空想の世界にとどまることは自分に誠実ではなくなってきました。
しかし、そこから一歩踏み出すことは容易ではありません。本作は空想女子・アメリが自分を生きるためにリアルワールドに一歩踏み出すまでを描いた作品だったと感じました。


本作は結構まどろっこしいです。小ネタが多くて面白いながらもなんとなくもどかしい。この自分が感じたもどかしさは、アメリの逡巡なのではないか、と想像しました。

0から1になることは非常に大変なことだと思います。1から2になるのは同質の上積みという感じですが、0から1は性質の変容であり、大仕事です。
アメリは一歩踏み出すまでにすごくユニークな超遠回りをします。現象的にはトリッキーですが、本質的にはとてもリアルだと感じました。怖いから遠回りしますよ。しかしそれでも勇気を出そうとするアメリの姿はとても輝いており、応援せざるを得ませんでしたね〜!
骨の病気で部屋に引きこもっている老画家レイモンというメンターが配置されているのも良かった。老画家はアメリと同じく世界から隔絶された存在だったからこそ、アメリの苦闘を理解し、メンターたり得たのだと感じました。

アメリがその時々のイマジナリーフレンド的な存在に励まされるのも興味深かったです。彼女の空想が、空想の世界からの脱却を後押ししているようでなかなかコクがありました。空想はその人を助けるけれども、空想に依存すると自分を生きることができない。そんなメッセージを感じました。

また、アメリの人柄も魅力ありますね。アメリはかなり悲惨な育ちをしているので、怒りや恨みを抱いてもおかしくないんですが、実にさっぱりしているし優しいです。人と人を取り持つことに喜びを感じる等、人に対してポジティブなイメージを持っているので、本作のトーンが明るくなります。情の薄い父親のことも思いやってますし。


本作はまごうことなき恋物語でもあります。恋の力でアメリは空想の世界から決定的に一歩踏み出そうと決意します。やはり恋愛は人生を変えるほどのパワーを持ちますね!
一方で、本作は恋愛関係を描いた作品ではないように感じました。あくまでもアメリが恋をして、自分に正直に生きるまでのプロセスを描いているので、相手役ニノとの関係性は割と淡白でした。ニノはパーソナリティ的にアメリとほぼ同じなので、鏡みたいなものですかねぇ。空想に応援される姿とか、もうひとりのアメリって感じでした。


前述した小ネタギャグの豊富さも特徴の一つでゲラゲラ笑いながら観ました。ムカつく八百屋の家に忍び込んで小細工するシーンに割と尺を取ったりと、悪ふざけ感が最高でした。CGの使い方もアホみたいで面白かった。ハイになったアメリが盲目の老人を軽やかに案内するシーンがあるのですが、その最後で老人がビカビカビカッと覚醒するようなCG演出があり、訳わからなくてかなり笑った!


全体的にお洒落でキュートな雰囲気に満ち溢れながら、ちゃんと中身も詰まった実に栄養素の高いガーエーだと思います。名作の誉れ高いのもさもありなんでございます。