みおこし

ジャングル・フィーバーのみおこしのレビュー・感想・評価

ジャングル・フィーバー(1991年製作の映画)
3.7
スパイク・リー監督作品。
アフリカ系アメリカ人の建築家フリッパーは、妻と娘に囲まれ幸せな生活を送りつつも、黒人であることから職場で少し肩身の狭い思いをしていた。ある日、秘書としてやってきたイタリア系アメリカ人のアンジーと恋に落ちてしまい...。

人種を超えた恋愛、それも不倫をテーマにしながら、さらにニューヨークを生きる様々なルーツの人々の日々を描いた非常にシニカルなコメディドラマ兼ラブストーリーでした。
スパイク・リーのどの作品にも共通して言える点は、人種差別・性差別がもたらす"生きづらさ"をテーマにしている点。
本作でも禁断の愛に落ちてしまった2人の姿から、アメリカ社会の暗部も浮き彫りにしていくという見事な構成が垣間見えました。不倫は良くないのは百も承知ですが、本作のフリッパーとアンジーはそんな中でも特段に恋愛するための障壁が多いカップルだなと...!あまりに問題が多すぎて、何だか観ているこっちまで落ち込んでしまいそうになりました。

本作でカンヌ国際映画祭の助演男優賞を獲得したサミュエル・L・ジャクソンは、ウェズリー・スナイプス扮する真面目な優等生タイプの弟フリッパーとは極めて対照的な、ヘタレ兄ゲイターを熱演。
建築士として一般的に見たら社会で成功している弟でも日々苦労しているのに、ほぼホームレスに等しい生活を送っているゲイターは更に孤独な人生...。ここにもアメリカの闇=現実が見えた気がしました。とはいえ、決してそれを悲観的なだけの描き方はせず、笑えるシーンもたくさん詰め込んで表現しているあたりがまたスパイク監督らしいなと...!

音楽を担当したのは、スティーヴィー・ワンダー。冒頭、ニューヨークの標識にスタッフとキャストの名前を載せて展開されるオープニングタイトルが秀逸な上に、曲とマッチしてて最高でした!早速本作のサントラ(というか本作をテーマにしたスティーヴィーのコンセプトアルバム)をヘビーローテションしています。

若き日のハル・ベリーとクイーン・ラティファも出ていてびっくり!
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