ごろちん

コロッサル・ユースのごろちんのネタバレレビュー・内容・結末

コロッサル・ユース(2006年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

いきなり家の窓からボンボンと家具が投げ捨てられ、そのたびにガシャン!!という轟音が鳴り響く様は、ヴァンダの咳と同じくらい不安を抱かせる。と同時に「何が起きてるんだろ⁉︎」という好奇心が芽生え始めてスクリーンから目が離せなくなる。このオープニングはめちゃくちゃ好き。

今作が『ヴァンダの部屋』の続きかどうかはよく分からないが、ヴァンダの父親ヴェントゥーラが主役。前述作ではヴァンダ個人にクローズアップされていたけど、今作では父親の視点から家族との交流を描いている。

推察するにヴェントゥーラは家族に対して結構無頓着だった様子。妻に愛想を尽かされ捨てられたヴェントゥーラは焦燥からか妻に向けて手紙を書く。その内容が物哀しい。

ペドロ・コスタ監督は小津作品の影響も受けたんだとか。『ヴァンダの部屋』から繋がっているのだとすれば、世話を焼いた子ども達もいつの間にか独立して、そこにふと孤独を感じる父親の哀愁は、確かに『東京物語』を彷彿とさせるかも。オープニングの衝撃から静かにフェードアウトしていくような作品だった。
ごろちん

ごろちん